経験も世代も超えて達成した
広域システム改革

Story
プロジェクトメンバー
2005年入社
大山 敏紀

ビジネスソリューショングループ所属。PMとして、メンバー管理、進捗管理、品質管理などの管理業務をメインに担当。


2022年入社
須賀 晴也

ビジネスソリューショングループ所属。顧客への提案活動からシステムの開発・テストまで一気通貫して担当。


2023年入社
加藤 恭将

ビジネスソリューショングループ所属。新人研修後に本プロジェクトに参画。テスト工程を担当。


プロジェクト概要

お客様は、約3万件の保険契約を取り扱い、全国に支部を展開する保険代理店様。お客様の主な業務として、「加入依頼等の各種申込受付、保険料管理、契約保全、継続契約管理、契約計上」を行っている。今回は、その一連の業務を行うための基幹システムを約20年ぶりに刷新するという広域システムの改革に取り組んだ3名が、当時を振り返る。


プロジェクトの課題・体制
多くの課題を抱えた刷新前のシステム

大山:今回、刷新を依頼されたシステムは20年以上前に構築された古いシステムでした。プロジェクトを進めるにあたって、お客様とのヒアリングやシステムの調査を繰り返し、浮き彫りになった課題は大きく分けて次の3つがありました。



  • ①メインフレーム上で稼働している刷新前のシステムは運用開始から20年以上が経過し、故障時の部品手配が困難でOSのサポートも切れている。

  • ②保険の申込を紙で運用しているため、本部へ申込書を郵送する必要があり時間と費用を要している。

  • ③保険料の集金・返戻の計算が行えず全て手作業で実施している。


大山:これらの課題を解消するために、プロジェクトメンバーを選出し開発にあたりました。


若手の成長を意識したプロジェクト体制

大山:プロジェクトは4名体制でスタートし、繁忙期は最大8名体制での推進でした。団体保険に関わるシステムは毎年複数システムを新規でスクラッチ開発をしていて、若手が成長できる機会だと考えています。そのため、メンバー構成は経験豊富なベテラン・中堅を軸とし品質を確保しつつも、若手の育成が可能なチーム作りを心掛けました。そこで今回アサインしたのが、この2人です。


須賀:私は、現在入社3年目で、以前に保険代理店向けシステム開発の要件定義から構築までを一通り経験したことがあります。その知見を活かす形でこの案件に携わりました。ただ、以前とは違い、今回は新人研修明けの加藤さんも参画することになっていたので、先輩としてのサポートも心掛けつつ臨みました。


加藤:私は、配属日の2週間ほど前に、この案件へ参画することが決まりました。プロジェクトの内容を聞いて、驚きと不安が大きかったのを覚えています。想像していた以上に影響度合いの大きいプロジェクトだったので、始めは圧倒されてばかりでした。そんな中、大山さんと須賀さんはこまめにコミュニケーションをとってくれて、気にかけてくださっていたので、非常に心強かったです。


須賀:私も2年前に初めて配属されたプロジェクトが大きな案件だったので、その時を思い出しました。不安な気持ちは、身をもって経験していたので、自分の経験を活かして全力でサポートしようと思っていました。


大山:須賀さんのおかげもあって、チーム全体もいい雰囲気でこのプロジェクトに臨めたと思います。私が若手の成長をサポートするために工夫した点は、勤務形態ですね。要件定義工程と設計・開発工程とで異なる形態で推進することにしました。要件定義工程では、活発な意見交換を行うことによる「提案品質の向上」や、若手がベテランとのコミュニケーションを通して「新たな気づき」を得られるよう本社への出社勤務としました。設計・開発工程では、若手・ベテランを問わず働き方として、本社への出社勤務と週3日までの在宅勤務を選択できる体制としました。


直面した壁への取組み
広域システムならではのやりがい

須賀:プロジェクトの最初に取り組んだことは、お客様の業務の流れをヒアリングし、各課題に対して対応案の提案活動です。その際に都道府県ごとの運用ルールを整理・集約する作業が困難でしたね。

保険の申込を紙運用していたことで発生していた郵送業務を見直すにあたり、後続業務の「審査・承認手続き」等も併せてWeb化する必要がありました。この「審査・承認手続き」は都道府県ごとに特色があり、全てのルールをシステム化するとシステムが煩雑化してしまうリスクがあるため、それを回避したいと考えていました。このことから、都道府県ごとのルールを共通化する必要があり、都道府県によっては普段の業務運用ルールを共通ルールへ変更いただく必要がありました。方針を検討するにあたり、お客様の本部組織と協議を重ね、お客様の本部組織より都道府県の皆様へご説明・ご納得頂きながら、1つずつ解決していきました。


須賀:また、従来のメインフレームから新しいインフラ環境への構築では、開発実績が多数あるAmazon Web Services(以降、AWS)への移設が決定していました。私たちが所属する部署ではこれまで手動でAWS環境を構築していましたが、構築コストの削減と技術習得を目的に、他部署で既に導入されていたTerraformを使ったAWS環境の自動構築に挑戦できたのは良い機会でした。事前に他部署の有識者から自動構築の仕組みについてレクチャーを受けることができたため、躓きながらも完成させることができました。


大山:その他、お客様から課題として挙がっていた保険料の集金・返戻計算の機能を実装する際は、お金に関わる大切な機能ということもあり、特に品質について注意を払いました。保険料の計算結果が正しいことを確認するために、通常の単体テスト等を実施したうえで、およそ3万件からなる実際の契約データに対して新システムにて保険料計算を行い、全ての契約の保険料が正しいことを確認する作業は、かなりの作業工数を要しました。


須賀:複数人で検証作業に取り組みましたが、あれは大変でしたね。最終的にお客様にもご確認いただき、結果としてシステム稼働後に保険料の計算ミスが発生することなく安定して稼働できたのでホッとしました。


加藤:品質の観点ではODC分析も実施しましたね。ODC分析はテストで発生した不具合を集計・分析して、不具合が潜んでいる可能性がある機能や観点などを検知する手法です。当時の私は1年目の配属直後だったため、ODC分析の考え方や集計結果の見方が分からず、先輩社員と2人で作業を進める中で少しずつ理解することができました。ODC分析結果を基に品質強化テストを実施し、不具合の検知・解消ができた際は、その分析した結果が役に立ち嬉しかったです。


案件を通して得た学び
チームで得られた経験と成長

加藤:新人研修が終わり配属されたタイミングで、プロジェクトはちょうどテスト工程に進んでいました。システム全体の流れを理解するために、総合テスト仕様書の作成を任せてもらえたことが思い出深いです。当初は仕様書の書き方や確認すべき観点など手探りの状態でしたが、先輩の助けを借りて改善を重ねることができました。またテスト工程で発生した障害対応では、設計書を確認しながらも気軽に周りの先輩方に相談することができ、安心して仕事に取り組めました。


須賀:今回はAWSの自動化という新たな技術にも着手できたため、学ぶことが多くありました。上司や他チームの方を巻き込んで相談したことで、チームだけでなく社内のコミュニティも広げることができました。私も他チームから相談されることもありますが、こういった場面で必要に応じて周囲のサポートを積極的に頼ることが、チームで動く醍醐味だと感じています。今後もさらにITの技術を磨くために、奮闘していきたいと思います。


大山:今回のプロジェクトは加藤さんと同様に1年目の若手がもう1名いましたが、両名ともチームに溶け込んで楽しそうに取り組んでいたのが印象的でした。プロジェクトが成功し、お客様から信頼を得られたことで、継続して機能追加案件のお話をいただいています。これからも、良い関係を続けていきたいと思います。プロジェクトは開発を終えて解散となりましたが、またこのメンバーで一緒に開発を行いたいですね。


※所属、年次は取材当時のものです。