須賀:プロジェクトの最初に取り組んだことは、お客様の業務フローを丁寧にヒアリングし、各課題に対して対応案を提案する提案活動です。その際、都道府県ごとに異なる運用ルールを整理・集約する作業は特に大変でしたね。
保険の申込を紙で運用していたため、郵送にかかる手間を見直すことになり、後続の「審査・承認手続き」なども含めてWeb化を進める必要がありました。しかし、この「審査・承認手続き」は都道府県ごとに特色があり、すべてのルールをそのままシステム化すると複雑になりすぎる懸念がありました。そのため、都道府県ごとの運用ルールを共通化する方針を立て、場合によっては既存の業務運用ルールを共通ルールへ変更いただく必要がありました。方針策定にあたっては、お客様の本部組織と協議を重ね、お客様の本部組織から都道府県の皆様へご説明・ご納得いただきながら、1つずつ解決していきました。
須賀:また、従来のメインフレームから新しいインフラ環境への構築では、開発実績が多数あるAmazon Web Services(以降、AWS)への移設が決定していました。私たちが所属する部署ではこれまで手動でAWS環境を構築していました。構築コストの削減と技術習得を目的に、他部署で既に導入されていたTerraformを使ったAWS環境の自動構築にも挑戦できたのは良い機会でした。事前に他部署の有識者から自動構築の仕組みについてレクチャーを受けることができたため、つまずきながらも完成させることができました。
大山:その他、お客様から課題として挙がっていた保険料の集金・返戻計算の機能を実装する際は、お金に関わる大切な機能ということもあり、特に品質について注意を払いました。保険料の計算結果が正しいことを確認するために、通常の単体テスト等を実施したうえで、およそ3万件からなる実際の契約データに対して新システムにて保険料計算を行い、全ての契約の保険料が正しいことを確認する作業は、かなりの作業工数を要しました。
須賀:複数人で検証作業に取り組みましたが、あれは大変でしたね。最終的にお客様にもご確認いただき、結果としてシステム稼働後に保険料の計算ミスが発生することなく安定して稼働できたのでホッとしました。
加藤:品質の観点ではODC分析も実施しましたね。ODC分析はテストで発生した不具合を集計・分析して、不具合が潜んでいる可能性がある機能や観点を検知する手法です。当時の私は1年目の配属直後だったため、ODC分析の考え方や集計結果の見方が分からず、先輩社員と2人で作業を進める中で少しずつ理解することができました。ODC分析結果を基に品質強化テストを実施し、不具合の検知・解消ができた際は、その分析した結果が役に立ち、嬉しかったです。